ある日ちょっと離れたお宅の奥さんが背丈ほどの掘ったばかりの木を持って来られた。どうしたのかと聞いたら、数カ月前にご主人が亡くなられて、一人では寂しいので娘さんのところに行かれるそうだ。掘れるのはこれだけだからお宅に植えてもらいたいと。半年くらい前にはご夫婦でお散歩していたのに急なことで言葉もない。花や木に詳しく色々とガーデン好きならではのお話を聞かせてくれたのを覚えてる。いつも奥さんが少し後ろをついて歩く。詳しいことはとても聞けなかった。あれから二年、今年も濃いピンクの花が沢山咲いた。年々花数が増える。幹もしっかりしてきた。この花が咲くとお二人がうちの前を楽しそうに通る姿を思い出す。
